コレステロールが高くなる原因
コレステロールが高くなる(生理学的な)原因は、じつは今まさに喧々諤々の医学論争が巻き起こっている最中で、よく分かっていません。ひとつはっきりしているのは、コレステロール値と生活習慣は密接な関係にあるということです。
想像するに容易いと思いますが、暴飲暴食や偏った食生活、それから運動不足はコレステロール値を上げます。このような生活が健康に良くないというのは一目瞭然でしょう。
もう少し詳細に解説しますと、コレステロールを多く含んだ食事を続けると、食品から体内に吸収されるコレステロール量が「減ります」。
驚かれたかもしれませんが、本当です。高コレステロールの食生活は、食品由来コレステロールの吸収効率を落とすのです。
だからといって早合点は禁物です。食品からのコレステロール吸収率は低くなるのですが、その代わりに肝臓でのコレステロール合成量は「増加」してしまうのです。
血中コレステロールの7割が肝臓での合成由来のものですので、食品からの吸収量増加よりも肝臓での合成量増加の方が大きな影響を及ぼします。したがって、脂物やジャンクフードの常食は間違いなくコレステロール値を高めることになるのです。
つぎに、運動不足は中性脂肪値を増加させます。運動することにより脂肪が燃焼しますから、運動不足になると血液中に脂肪分が余ってしまうのですね。
この余分な中性脂肪は悪玉コレステロールと結託して動脈硬化を進行させたりとなかなか厄介な代物です。以上より、コレステロールの原因と「食生活」「運動生活」改善の大切さがご理解いただけたかと思います。
最近では「コレステロール値が高い方が死亡率が低くなる」といった論説が巷に溢れていますが、これは鵜呑みにしないよう注意してください。
たしかにコレステロール値と死亡率との相関関係については議論のあるところですが、「故意にコレステロール値を上げる健康法」などというのはあり得ません。
糖尿病、動脈硬化、心臓病、高血圧、肥満などは「生活習慣病」と呼ばれまして、生活習慣の改善によって予防できるものです。
肥満や動脈硬化には特に悪玉コレステロールが密接に関係しておりますし、コレステロール値を下げるよう心掛けることは健康のために昔も今も有効です。